昔、信州の須坂の城下に日滝という村がありました。働き者だが貧しい村の人々は春と秋の祭りを楽しみにしていましたが、凶作が続いたことにより殿様より贅沢禁止令が出され、祭りも禁止されてしまいました。
すっかり活気がなくなってしまった日滝の村でしたが、ある日、笛の名手であるおたき婆さんの家に雨でずぶ濡れになった2人の侍が雨宿りにやって来ます。やさしいおたき婆さんは2人をもてなし、温かいお茶を準備しました。侍の1人は俵の上に腰掛け休息していましたが、お茶を持ってきたおたき婆さんはそれを見て激怒し、侍を追い返してしまいます。
それから2,3日すると、おたき婆さんは城から呼び出されてしまいます。殿様と面会し顔を上げると、なんと追い返した侍でした。なぜあのとき怒ったのか問うと、殿様が腰掛けたのは米俵で、農民が汗水垂らして作った大切な米だったためついカッとなってしまったとのこと。殿様は自分の行為を詫び、何か望みを叶えようとおたき婆さんに提案したところ、おたき婆さんは「祭りを復活させてほしい」とお願いし、祭りは再び行われることになりました。
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